エッ…つまり男も好きになるってコト!?(怒り)#1

どうもみなさんごきげんよう

わたくし、””本物””のホモですわ!

 

はい、誇張はあれどその通りです。

もうすでに周知のことでしょうが僕はホモ、というかバイセクシャルです。

男も女もイケる現代が生んだニュータイプ。次世代を担う新人類。

セクシャル上位個体ことバイセクシャルです。

僕は””最強””なので自分がいわゆるLGBTであることに対して忌避感であったり劣等感であったりを抱いてはいません。””最強””なので。

しかし一方で、一部の方々はそういった僕の特質に対して渋い顔をすることについても理解しています。

先日twitterでお話したように僕は半年ほど付き合っていた彼女にバイセクシャルであることを告白したところ「正直気持ち悪いって思う」との言葉を投げかけられて別れました。渋い顔どころか罵声でした。ぶっ殺すぞ。

たぶんこのことは一生根に持ちますが、しかし今回の話の本旨はそこではありません。機会があればつれづれつらつら罵倒悪口恨み言を100,000文字の大長編で書き連ねたいとは思いますが。

閑話休題。今回は表題の通り「エッ…つまり男も好きになるってコト!?(怒り)」についてお話をしていきます。

要するに、僕が男の人と付き合っていた時の話です。

先に断っておきますが、僕のこの話に面白みはありません。特殊であることと劇的であることは等しいわけではないので。

それを踏まえた上でこの話をするのは、むしろ僕たちの「普通さ」を知って欲しいからです。ですから、僕はなるべく脚色なく現実に沿った形でこの話を書き上げていくつもりです。

ご存じの通り脚色の無いノンフィクションは往々にして一番つまらないオチがつくことがほとんどですが、僕のこの話もその例には漏れません。

なので「おもんな」「きっしょ死ねや」といった言葉は受け付けません。悪いのは僕じゃなくて世界なので…。

まぁそんな話でもよかったら軽く読んでいってください。

 

 

季節は春─────────。

いや夏だったかもしれない。あれ、秋だっけ。

たぶん記憶通りなら5月くらいなんですけど、正直そこらへんは曖昧です。

ただ、高校1年生のころの話ということだけはハッキリしています。

この話はその時期で果たした出会いがきっかけとなるのですが、その前にまずこの話を語るにあたって一つの前提があります。

僕はEで始まってDで終わるアレなわけなんですが、当時の僕はまだその事実に対して折り合いを付けることが出来ていませんでした。

まぁ、今も完璧に折り合いをつけられているのかと言われればそうでもないのですが。

ただ間違いなく、僕はそのことについて今以上に真剣に考えをめぐらせていました。

なぜ反応しないのか。自分の性癖が異常なのか。僕は本当にオスなのか。いやそもそもヒトなのか。そうなるとわたしは誰だ。ここはどこだ。

誰が生めと頼んだ!

誰が造ってくれと願った…!!
わたしはわたしを生んだ全てを恨む…!

だからこれは… 攻撃でもなく 宣戦布告でもなく
 
わたしを生み出したお前達への
 
"逆襲" だ

 

みたいな気持ちになり、半ば自棄のような生活を送ったりしていました。

そのくせ、性に関する体験だけは他の同年代の子よりも半歩ほど先に進んでいたような気がするので、自分が直面する現実と自分自身の「普通ではない」体とのギャップに結構な苦悩がありました。

巨乳モノのAVに触れて腕を組み、ロリ系エロ漫画に手を出し「ふむ…」と呟き、SM、触手、果てにはスカトロまで様々なジャンルのポルノコンテンツに毎夜のごとく手を出し、実質、性の千夜一夜物語みたいなものを経験したわけですが、ついぞ僕のおちんちんは元気を出しませんでした。

そしてそんな苦悩と夢精を繰り返した日々の果て、僕の中である一つの可能性が浮上しました。

「もしや僕はホモなのでは?」

天啓とも呼ぶべき言葉が僕に降って注ぎました。

それがもし仮に事実であれば、すべてに整合性がとれるのです。

 ならばあとはゲイポルノに手を伸ばせばいい。そうすれば自ずと答えは知れるのですから。

しかし、僕はそれに手を出すことへの躊躇がありました。

もう「普通ではない」ことは明らかであったくせに、これ以上異常にはなりたくないといった思いを抱いていたのです。有り体に言ってしまえば、現実的な同性愛者というものに対する忌避感が当時の僕には備わっていたのでしょう。

環境や時代のせいにするのはあまり好きではないのですが、文化というのは恐ろしいもので、一切意識することの無かった価値観が気が付けば植わっているのです。

それゆえに結局のところ、僕はこの時ゲイポルノに触れることはありませんでした。

僕がしっかりとゲイポルノを視聴することになるのはもっと後のことになりますが、今回の話の本旨とは関係の無いことなので割愛します。

そんなこんなで自分の性的嗜好に関して強い葛藤を覚えていた僕でしたが、ある出来事によって僕は自分自身の「こころ」と向き合い、この葛藤を整理することが出来ました。

それが冒頭でお話したある人との出会いになります。

その人は当時僕と仲が良かった野球部の友達の先輩でした。

つまりは実質友達の友達です。そして、たかが知人Bに向けられた笑顔があれならもう恐ろしい人だって感じで僕が惚れたわけです。なんて風に続けられたらだいぶ楽なんですけど、話はもう少し面倒です。

出会いの経緯はまぁ、面白くもなんともないもので、僕と仲の良かった野球部の子が一緒に帰っていたところ、その先輩が絡んできて、まぁなんやかんやで僕はその人に気に入られて仲良くなったって流れです。

多分、学生時代においてクラスとか部活とかが一緒じゃない人と仲良くなる経緯って大体こんなものだと思います。

つまりは僕と先輩の出会い方はいたって「普通」のものでした。

そしてその後の関係もしばらくは「普通」に仲のいい先輩と後輩といったところでした。

校内で会えば適当な雑談をし、放課後に会えば一緒にご飯を食べに行き、場合によっては休日に遊びに行く、そんな先輩と後輩が僕たちだったのです。

僕は先輩のことをただのいい先輩としか思っていませんでしたし、先輩も僕のことをただのいい後輩としか思っていなかったと思います。後者に関しては完全に憶測でしかないのですが。

だから当然、僕たちの関係はそのまま「普通」の先輩後輩として、先輩が卒業してしまえばきっと連絡を取ることも徐々に無くなっていくような、そんなよくある形のまま仲が終わっていくものだと思っていました。

それが少し「特別」な形に変わったのは出会ってから数カ月したある日のことでした。

その日、僕は先輩と二人でサイゼリヤにいました。

サイゼは学生の味方なのでミラノ風ドリアが299円で食べられ、さらには間違い探しなどのアミューズメント要素もあるため、サイゼに集まらない理由がありませんでした。

そんなサイゼなので、いつもなら間違い探しに熱を上げ、人のドリンクに唐辛子フレークを混ぜ込んでいるところでしたが、その日は違いました。

それは何となくの会話の流れだったり、周りの雰囲気だったり、そういったものが作り出す、学生時代によくありがちな「少し重たい話をする日」だったのです。

共通の知り合いの愚痴から始まって、過去の失敗、将来への不安、そして「恋」について。

詳しくそんな会話の流れだったのかは覚えていませんが、でも間違いなく、僕と先輩は「恋」の話をしました。

「今好きな人いるの?」「昔付き合ったことは?」「likeとloveの違いって?」

どこまでもよくある「恋」の話をして、二人して少し黙りこくって、手持無沙汰でストローのゴミをいじって、周りのざわめきがうるさく感じて、ため息とも相槌ともつかない言葉を互いに何回も繰り返した頃、僕は一歩。確実に踏み込んだとしか表現できない話をしました。

「実は僕、勃たないんですよね」

ここだけの話。とそのあとに付け加えたと思います。

その時の先輩の表情を僕はよく覚えていません。僕がただ覚えていないのか、それとも、そもそも先輩の顔を見ていなかったのか。

ただ、「見られていたな」という感想だけが記憶として残っています。・

まぁ、もちろん本当に見られていたのかは知りませんけれど。

今更「あの時見ていた?」なんて聞くようなことでも、聞けるようなことでもないので、もう今後知る由の無い話です。

少しの間のあと「えーっと」とか「あー」とか言葉とも呼べないような言葉を先輩は並べ、そして

「それってマジの話?」

と念を押すように僕に尋ねました。

「まぁ、悲しいことに」

なんて軽口をたたいたあと、僕はそのことについて先輩に話しました。

話の内容としては先述したことの繰り返しになるので割愛しますが、多分、話ぶりとしてはもっとずっと重たく、不幸自慢のような体を成していたのではないかと思います。

もし僕が突然そんな話をされたら正直嫌な顔をしてしまうかもしれません。顔には出なくとも内心で「えぇ…」と思うことは間違いないでしょう。

けれど先輩はそんな素ぶりを一切見せることなく、いたって真面目な表情で僕の話を聞いていました。その時先輩は心から真剣に僕の話を聞いてくれていたのだと思います。もちろん、これは願望ですけれど。

そんな楽しく無い話を僕は滔々と語って、そして先輩は「そっか」と一言呟きました。

僕の話を聞いて先輩が何を思い、何を考えたのかはよく分かりませんでした。僕は特別人の心を読み解くのがうまいわけでも、相手の言葉をそのまま受け取ることができるほど素直な心を持っているわけではないので。

でも、先輩が何も思わず、考えなかったということはまず無かったはずです。

僕の言葉は先輩の心を多少とも動かし、そして、続けた言葉が先輩にとって決定的なものになったであろうことには確信を持っています。

「だから、俺、ホモなんじゃないかなって正直思うんですよ。まじめに」

僕は言いました。数か月間、心の奥底でずっとグルグルと渦巻いていたことを。

その時の先輩の顔は、よく覚えています。

僕と目を合わせず、視線を手元に落とした先輩の表情を。僕は生涯忘れないと思います。

繰り返しますが、僕は人の心を読み解くことが得意ではありません。態度も言葉も、無関心が本質なのだと勝手に思い込んで、決めつけてしまいます。

けれど、断定します。

あの時の先輩は言葉では尽くせない葛藤で苛まれていて、だからこそ、先輩が発した言葉には疑う余地も無いものでした。

「俺、男じゃないと好きになれんのよ」

あぁ、そっか。と不自然なほど自然に僕はその言葉を吞み込むことが出来ました。

先輩はその一言きり黙りこくってしまいましたが、それで十分でした。

「じゃあ、俺ら大体一緒っすね」

理由の分からない半笑いと一緒に僕はそう言いました。

「俺はちゃんと勃つけどな」

とからかうように先輩は返しました。

きっと、あの人じゃなかったら冗談にしてくれなかった話だったと思います。

僕と大体一緒の先輩だったから、話を聞いた先輩に僕はどうして欲しいのかを分かってくれていたのだと思います。

こんな「普通じゃない」話を僕たちはただ「普通」のこととしてただ笑えるようにしたかったのです。

そして僕らはそのあと、記憶にも残らない、意味もまったく存在しない話をして、店を出ました。

店に入る前と入った後で僕たちの間に変化はありませんでした。

校内で会えば適当な雑談をし、放課後に会えば一緒にご飯を食べに行き、場合によっては休日に遊びに行く、そんな先輩と後輩のままで僕たちは帰り道を歩きました。

好きな漫画のこと、ソシャゲのガシャのこと、学校のイベントのこと。

なんでもない話を僕と先輩は変わらずに続けました。

僕がEDなこと。先輩が男の人を好きになること。

なんでもない話のように僕たちは話しました。

僕たちにとってそれはタブーではなく、ただの特質の話でしかなかったのです。

 

だから、僕にとっても先輩にとっても、特別なのはむしろその後の話でした。

先輩が言いました。

「別にガチじゃなくていい。俺もそうだから」

それは会話の流れからしたら突然の言葉だったと思います。けど、だからと言って僕の理解が追いつかないなんてこともありませんでした。僕はその時点で先輩が言いたいことをしっかりと理解していたのです。

「お前が違うってわかったら、そこで終わりでいい」

だからさ。と先輩は僕の目を見て続けました。

 

「俺とさ、付き合ってみん?」

 

たぶん、よくある告白のセリフだったと思います。

 

 

 

 

疲れたからつづきはまた後日にするよーん